開催趣旨

大会会長:佐藤 重昭(さとうしげあき)氏

大会会長:佐藤 重昭(さとうしげあき)氏
 新公益法人制度元年である本年、「第23回法人会全国青年の集い」をこの岩手の地で開催できますことは大変大きな喜びであります。
岩手は本州最大の県土と豊かな自然と食材に恵まれ、地域には様々な歴史ある伝統芸能が息づいています。また岩手は、宮澤賢治、新渡戸稲造、石川啄木、原敬、斎藤實、米内光政、後藤新平といった歴史的な偉人も多数輩出している人材の宝庫でもあります。

 岩手を代表する詩人・童話作家である宮澤賢治は、この岩手の地を「理想郷」という意味で「イーハトーヴ」と名付けました。
今をさかのぼる900年前、幼少期から戦乱の中を生き抜いた藤原清衡はこの世の全ての霊を浄土に導く「浄土思想」に基づき平泉に平和都市を構築しました。奥州の政治・行政上の拠点都市となった平泉は最盛期には中尊寺を中核にして40に及ぶ寺塔と300にのぼる禅房があったといわれます。平泉はまさに「イーハトーヴ」でした。

 一方、新渡戸稲造は大正時代に国際連盟事務次長として北欧の領土紛争問題を平和的に解決し、世界平和のために活躍しました。岩手公園の新渡戸の碑文にある「願わくはわれ太平洋の橋とならん」の言葉通り彼は生涯「平和思想」を貫き、彼の「イーハトーヴ」は全世界そのものでした。平泉の「浄土思想」と新渡戸の「平和思想」。
900年の時と地域を越えその目指すところは「イーハトーヴ」の実現でした。

 そして東西冷戦が終結してから20年。急速な経済発展が人類を豊かにし、世界をITで結び、国境を越え人々が自由に移動できる比較的平和な時代を生みだしました。
「イーハトーヴ」の実現はすぐ目の前に思えました。しかし行き過ぎた市場原理主義は100年に一度の世界同時不況を招き、世界規模の経済活動は急激な地球温暖化や食料・水不足、地下資源の枯渇をもたらす恐れが出てきました。世界同時不況の煽りを受けた日本経済は停滞し、国内は地域格差・経済格差と少子高齢化に伴う人口減少が進み、過疎化の進む地方都市とそこで事業を行う私達中小企業は次第に活力を失いつつあります。国の活力の源は地方都市と、そこに住む人々、そして中小企業の活力であり地方の活性化こそが国の発展に寄与すると確信します。それには地方と中小企業の活性化に対応した税制改革が急務です。

 「第23回法人会全国青年の集い岩手大会」は参加する全ての会員企業と地域が本来の力を取り戻すための「あるべき税制」を真剣に考え、真の納税者意識を定着させる租税教育活動の重要性を改めて認識して頂く大会になれば望外な喜びであります。
また雄大な岩手の自然の中で「平和思想」と「浄土思想」に触れて会員それぞれの「イーハトーヴ」を発見し、その実現に向け大きく飛躍して頂くきっかけとなれば幸いです。

【Haste not Rest not】 ヘイスト ノット レスト ノット ~急ぐなかれ休むなかれ~

 新渡戸稲造が晩年好んだ言葉です。
この厳しい時代だからこそ「急がず、休まず」一歩一歩足下を固めて確実に進む事が肝要です。全国の会員の皆様には今大会で地域の活性化のヒントを持ち帰って頂き、各地域での「イーハトーヴ」創生と、租税教育活動の更なる充実に向けて着実に前進して頂く事を期待致しております。